1955年(昭和30年)に『100人の陽気な女房たち』という短編映画が製作されました。
舞台となっているのは、我が街、三吉橋通り商店街です。なかなか面白いこの短編映画を皆さんにもご覧頂きたく、ご紹介致します。
※紀伊国屋書店 DVD『昭和30年代の日本・家族の生活』に収録
昭和30年ごろの日本は、三吉橋通りに限らず、全国どこでも水洗トイレがなく汲み取り式トイレの時代です。町にはゴミがあふれ、ハエや蚊が多く衛生面が劣悪な状態が深刻な問題となっていました。
三吉橋通り商店街周辺もゴミだらけでハエや蚊などの害虫でいっぱいという、ひどい状態だったようです。
「食品を扱っていればハエがいるのは当たり前」という風潮の中で、「町をなんとかしなきゃ」と一大奮起したある主婦の行動を発端に、三吉橋通り商店街を含む浦舟町が、町ぐるみで町の清掃を行い全国の環境衛生モデル地区となり、厚生大臣賞を受賞しました。
そして、桜映画社によって『100人の陽気な女房たち』という映画が製作されました。
“町をきれいにしよう”という高い意識を持って、主婦たちがかっぽう着姿で町じゅうを掃除するというちょっと変わった映画は、『百人の陽気な女房たち』というタイトルが付けられ発売され、“日本一小さな商店街” 三吉橋通り商店街が多くの人に知られるところとなりました。
当時、どのくらいの方々に見られたかは不明ですが、二度と見ることが出来ないこの小さな商店街の様子を、よくぞ残して下さったと感謝の気持ちを込めて携わった方々のお名前を列記致します。
◎制作:桜映画社 1955年/30分/白黒
◎企画:全国地域婦人団体連絡協議会/プロデューサー:村山英治
◎脚本・監督:青山通春/撮影:牛山邦一/照明:田畑正一
◎音楽:渋谷修/美術:長野正親
◎出演:戸田春子・田所千鶴子・亘幸子・新田喜美枝・島田屯・高野二郎・米倉栄
映画のストーリーは、衛生的に問題があった街で、近所の子供が疫痢になり大騒動となり、一人の綺麗好きな主婦が、何とかこの街をゴミが無くハエや蚊のいない街にしたいと周囲を啓蒙していく過程のお話です。
苦労しながらも丁寧に穏やかに話しをし続け、南区役所に行っても予算が無いと断られたりもしています。
それでもめげずに努力を続けた結果、最初は、うるさがっていた人々もだんだんと協力するようになり、やがては皆で街の清掃をするようになりました。
「本当にこんなことが?」と目を疑うような場面が度々登場しますが、これは実話です。
先人の皆様のお陰で、この街の今があり、この街を決してスラム街化させなかった多くの方々のご尽力に心から深謝致します。
1955年頃の中村川沿い
(昭和30年)
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現在(DVD製作当時)
1955年頃の中村川
(昭和30年)
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現在(DVD製作当時)
1955年頃の中村川
(昭和30年)
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現在(DVD製作当時)
出来れば、この頃、子供だった皆さんに、映画そのものを懐かしくご覧頂きたいところですが、再生して公開することは違法ですので、当時の店名の入った場面を抜き出してDVDのおすすめとなりました。鮮明な画像ではありませんが、懐かしいお店がお分かりになるでしょうか。
ご興味を持たれた方はぜひご購入なさって、じっくり映画本編をご覧ください。
このDVDには他にも懐かしい映像がいろいろ収録され、なかなか楽しめます。
発売元は桜映画社、販売は紀伊国屋書店さんです。Amazonにも出品されています。横浜なら有隣堂さんあたりで販売されているかもしれません。
●昭和30年代の日本・家族の生活 定価6,000円(税込価格)