職人さんの店 山惣 研ぎ屋
今ではなかなか出逢えない本物の包丁研ぎ職人のいるお店。古き良き時代という言葉が浮かんでくる入口を入ると、小さな博物館に来たような雰囲気がいっぱい。見る物すべて珍しく、ついつい質問をしても、ご主人の山本さんは、おだやかに丁寧に教えて下さいます。
墨壺や鉋(かんな)、鑿(ノミ)など、普段見ることの出来ない、日本の伝統の道具もある仕事場ですが、気難しい職人さんの店ではなく、気さくでやさしい笑顔の、知る人ぞ知る“三吉橋通の研屋さん”です。山本さんは「研屋と呼んで」とおっしゃいます。
研屋さんには、包丁だけでなく、ナイフ、ハサミ、小刀、カマ、理美容バサミ、園芸バサミ、生花バサミなど様々な刃物が持ち込まれます。刃物なら何でも研いで貰えます。シャープに光りを放っている研ぎ上がった小刀の切っ先をみると、ちょっとゾクっとします。
置き方ひとつ取っても、丁寧さが感じられ、心地よい緊張感がある工房です。
山本さんが研いだ包丁で新聞紙を切ってみると、その切れ味のシャープさに驚きます。スパッと、と言うか、非常になめらかに音も無く、スッと切れている印象です。
カウンター越しに研ぐ様子を見ていても大丈夫。怒られません。合間合間に専門的なことを伺っていると、刃物を研ぐという技術は実に奥深い伝統の技だと気がつきます。
砥石ひとつ取っても様々な産地の様々な種類があり、使い分けが必要なようです。
研ぎの依頼に来る人、研ぎ上がった刃物を引き取りに来る人が時折訪れます。
何でも自動で出来る機械が開発され、家中に便利な道具がある時代に、新聞紙に大事にくるんだ包丁を預けに来て、また数日後に訪れて研ぎ上がった包丁を手渡される、とてもアナログな感じですが、とても贅沢で優雅な暮らしに思えます。
包丁を大事にうれしそうにカバンにしまった、あの男性の作るお料理はおいしいだろうな、と思えます。
日常使いの包丁を一度研いでもらうと、きっとヤミツキになるのではないでしょうか。
職人の店 山惣 研ぎ屋
横浜市南区万世町2-38 TEL.045-261-6190
◎営業時間:10:30〜18:00/土曜日:16:00まで
◎定休日:日曜日
★包丁研ぎ500円〜承っています。